なぜ「牛乳危機」が起きているのか。キヤノングローバル戦略研究所の山下一仁研究主幹は「農業保護という観点から、間違った農業政策が進められてきた帰結といえる。農業を守るには、輸入品に高い関税を課すのではなく、EUのように農地保護を支援するべきだ」という――。 食卓から牛乳はなくならない 4月某日、あるTV局から私に、「食卓から牛乳がなくなる」という番組を作りたいとして、取材協力の依頼があった。私に「廃業が進み地産地消の牛乳が食卓から消える可能性がある」というコメントを期待していた。 酪農や牛乳・乳製品についての知識がなく、思い付きで結論ありきの番組製作をしようとしていることは明らかだった。また、取材を申し込んでいるのに、酪農について私が書いていることを読んでいないことも明白だった。 地域の酪農家が離農しても、生乳は他の地域から移送されてくるので、牛乳の供給を心配することはない。大分の牛乳も岩手
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