<概要> 本稿は、連載第2回の続きである。裁量労働制をめぐる比較データの作成方法を引き続き示し、これがうっかり作れるようなものではないことを、論証する。 <全6回の連載目次(改訂版)> ※第1回 ※第2回 ※第4回 筆者作成2-6. 答弁撤回後も続いた野党の追及 さて、前回の「2-2」に述べたように、2月7日の厚生労働省担当者から長妻議員らへのレクにおいては、一般労働者の「平均的な者」の9時間37分というデータは、 という計算式だと説明を受けていた。 ただし、文書でそのように説明されたわけではない。口頭である。その後、野党合同ヒアリングに何度も同席させていただいて分かったことだが、厚生労働省の担当者は野党側が文書での回答を求めても、ほとんどの場合、口頭でしか回答しない(しかもその回答の多くは、実質的に回答拒否である)。都合の悪いことは文書で残したくない、という事情によるものと思われる。上