「AとBはまったく違いがない」という研究結果は、「AのほうがBより効果(影響)がある」という研究結果と同様に重要な発見のはずです。ではどうして、学術雑誌は「AのほうがBより効果(影響)がある!」という論文のみであふれているのでしょうか? 人間は、物事を比較することによって世界を把握する生き物です。たとえば、空間を仕切る壁に穴を開け、私たちが簡単に出入りできるものを「ドア」と呼び、そうではないものを「窓」と呼びます。同じ四足動物でも、「ミャー」と鳴けば「猫」と呼び、「ワンワン」と鳴けば「犬」と呼ぶ。つまり人間は、五感を駆使して物事を比較し、それらを区別・区分することによって初めて、自分たちの周りの真実を理解することができるのです。そのため、ハッキリした違いを心地よく感じ、重要視する傾向が生じます。 そしてその人間性は、研究者の中にも息づいています。ある研究でAとBを比較し、「まったく違いがな
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