村上春樹が訳した評伝『スタン・ゲッツ 音楽を生きる』を読みました。スタン・ゲッツ Stan Getz はジャズのテナーサックス奏者。村上氏が個人的に一番思い入れのあるミュージシャンなのだそうです。原著は1996年に出ていて、この邦訳が出たのは2019年です。20年ぐらいかけてポチポチと訳したんでしょうか。一見それほどの分量があるようには見えませんが、600ページぐらいあります。薄い紙を使っているんですね。 新潮社刊。本体価格3200円 訳者あとがきにもありますが、スタン・ゲッツは人格に大きな問題を抱えていると見られることが多い人物でした。ジャズメンのエピソード集なんかでもいいことが書かれているのを見たことがありません。 ルイ・カストロ『ボサノヴァの歴史』に少しだけ登場するゲッツの姿は、ボサノヴァのデリカシーを理解しない尊大で無神経なアメリカ人そのものです。 渡辺貞夫の『ぼく自身のためのジャ