2025年上半期、第173回芥川賞の候補に『トラジェクトリー』が選ばれ、大注目されている、グレゴリー・ケズナジャットさん。 1984年生まれの著者は、英語を母語としながらも日本語で小説を執筆する作家です。2007年、クレムソン大学を卒業ののち、外国語指導助手として来日。2017年、同志社大学文学研究科国文学専攻博士後期課程修了し、現在は法政大学にて准教授を務めています。2021年、「鴨川ランナー」にて第2回京都文学賞を満場一致で受賞し、デビュー。2023年には「開墾地」で芥川賞候補に。 著者の小説の原点はどこにあるのでしょうか。それが感じ取れる初めてのエッセイ集『言葉のトランジット』が、2025年8月21日に刊行となります。 旅に出かけ、いくつかの「言葉」というレンズを通して見えてきた景色とは……。 24のエッセイから、一篇を特別に抜粋して公開します。 英語圏の国々から日本に渡ってきて、し
2025年4月24日、Foxニュースの記事が心にひっかかった。ドナルド・トランプ大統領が、ロシアとウクライナの和平交渉について語る際に、こう発言したのだ。“I have no allegiance to anybody”(私は誰にも忠誠を誓っていない)。この言葉は、トランプがどちらの国にも肩入れせず、中立的な立場で交渉を進める意図を強調するもので、記事によると、彼は「私の忠誠は命を救うことにある」と続け、和平による人命救助を最優先に掲げていた。 心にひっかかったのは、「allegiance」という言葉である。日本語では「忠誠」と訳されることが多いが、このトランプの「allegiance」には、どこか軽く、冷たく、実利的な印象も受ける。もちろん、トランプという人物の言い方や文脈による部分も大きいだろうが、日本語の「忠誠」、すなわち武士道の「忠義」や儒教の「忠」に宿る情熱や誠実さとは、やや異な
無残に破壊され、崩れ落ちた大聖堂。 略奪され、焼かれた博物館。 ロシアによるウクライナへの軍事侵攻からまもなく3年がたちます。 多くの命が失われた一方で、これまで長い歴史をこえて受け継がれてきた貴重な文化財の数々も甚大な被害を受けました。 残された文化財をどう守り抜くのかという課題に、いま、日本の知見が生かされようとしています。 ウクライナの文化財をめぐる現状とその支援の現場を追いました。 (科学・文化部記者 三野啓介) 大きく損壊した大聖堂。ウクライナ南部、オデーサで撮影されました。 ユネスコの世界遺産に登録された「歴史地区」にあるこの聖堂はおととし、ロシアのミサイル攻撃で甚大な被害を受けました。 それだけではありません。 東部マリウポリでは、新石器時代の貴重な考古学的資料を収蔵する博物館が略奪を受けたり、南部主要都市のメリトポリではスキタイ文化の金製品が奪われたりするなど、東部と南部を
フランスのルーブル美術館について、マクロン大統領は、新たな出入り口や、名画「モナリザ」のための専用の展示スペースを設けるなど混雑の緩和に向けた大規模な改修計画を発表しました。 パリのルーブル美術館は、2024年、およそ870万人が訪れるなど、フランスの人気の観光名所ですが施設の老朽化などインフラの問題に加え、名画「モナリザ」が展示されている部屋は、常に大勢の人で混雑していて、改善を求める声があがっています。 マクロン大統領は、28日、「モナリザ」の前で会見し、大規模な改修計画などを明らかにしました。 発表によりますと、混雑を緩和するために、美術館の出入り口を新たに建設するほか、「モナリザ」のための専用スペースも設けるということで、一部の改修は2031年に終える見通しです。 美術館の営業を続けながら老朽化した設備面の改修も進めるとしていて、地元のメディアは改修計画には10年間で総額7億ユーロ
Published 2025/01/25 16:24 (JST) Updated 2025/01/25 16:39 (JST) 【パリ共同】レオナルド・ダビンチの名作「モナリザ」で知られるパリのルーブル美術館が、建物の老朽化や入館者の増加に伴う混雑で劣悪な環境に陥っているとして、国に大幅な改修を求めた。フランスメディアが25日までに伝えた。事態を重く見たマクロン大統領は28日に現地を視察する方針だが、国は財政難で予算が確保できるかどうかは不透明だ。 23日付パリジャン紙は、ルーブル美術館のデカール館長がダチ文化相に宛てた13日付の機密文書を掲載した。建物の損傷が相次ぎ、漏水が起きているほか、著しい温度変化で作品の保存が危ぶまれているケースもあると指摘した。 混雑も深刻化しており、文書は「ルーブル美術館の訪問は肉体的試練だ」と強調した。館内で取れる食事の選択肢やトイレの設備も不十分で、国際的
1931年に東京で生まれた谷川さんは、高校時代に詩を作り始め、1952年、詩集「二十億光年の孤独」を発表しデビュー。 広い宇宙に生きる孤独な人間の姿を見事に表現し、一躍脚光を浴びました。 鋭い感性から生まれる表現やテンポのよいことばあそびなどが特徴で、半世紀以上にわたり数多くの作品を発表し続けてきました。 生きるすばらしさをつづった「生きる」や、世界中で朝を迎える様子を描いた「朝のリレー」など国語の教科書に掲載された詩も多く、親しみやすいことばで表現された谷川さんの詩は時代をこえて読み継がれてきました。 また、アニメ「鉄腕アトム」の主題歌の作詞を手がけたほか、絵本「スイミー」や「マザー・グースのうた」、それにスヌーピーの漫画「ピーナッツ」など海外の名作の翻訳を多く手がけたことでも知られています。 NHK全国学校音楽コンクールでは過去5回にわたり課題曲の作詞を手がけ、ことばの持つ力で日本の文
アニメーション作品の新たな担い手を増やそうと、アニメの描き方などを問う初めての技能検定が東京など全国6か所で行われました。 一般社団法人日本動画協会の調べでは、アニメの市場規模はおととし3兆円に迫るなど、需要が拡大しています。 一方、現場では人手が不足し、人材育成が課題となっています。 こうした中、全国のアニメーターらで作る団体が、人材を増やすきっかけにしようと、アニメを描く技術などを問う「アニメータースキル検定」を初めて開催しました。 9日行われた検定は、東京や大阪など全国6か所の会場で行われ、16歳から61歳までのおよそ350人が挑みました。 都内の会場では、原画をなぞって正確に絵を描く問題が出題され、それぞれが鉛筆を使って、キャラクターの顔のパーツやラインを細かく描写していました。 アニメの制作会社に就職が決まっているという20代の女性は「商業アニメーションの知識が全然ないので、今回
週プレNEWS TOPニュース社会パリ在住フランス人研究者が「日本語の起源」を追究する理由。文字なき時代の古(いにしえ)の姿はここまでわかった! 「日本語の祖先は、朝鮮半島から海を渡ってもたらされた説が有力です」と語るペラール氏 日本語は、大昔はどのような姿だったのか? 文献の記録がない時代はどんな発音で、どんな単語があったのか? そんな疑問に答える本が出た。それが『日本語・琉球諸語による歴史比較言語学』だ。 われわれが話す日本語の祖先の姿に迫る画期的な方法をまとめたこの本の著者のひとりは、なんとパリ在住のフランス人、トマ・ペラール氏。異国の言語学者が明らかにした、日本語の古の姿とは? ■日本列島にはいろいろな言語があった ――なんだか難しそうな本ですが、タイトルの「歴史比較言語学」ってなんですか? トマ・ペラール(以下、ペラール) 異なる言語どうしを比較したりすることで、言語がたどった歴
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