コロナウイルスのワクチン接種が遅々として進まない。日本はワクチン開発競争で惨敗した。ワクチン獲得競争にも大きく出遅れた。この「ワクチン敗戦」をマスコミは厳しく追及しない。 コロナ禍は技術力でも経済力でも外交力でも日本の国力が衰弱したことを浮き彫りにした。さらに深刻なのは、その国力衰退に多くの人々が気づいていないことだ。「美しい日本」「日本スゴイ」が叫ばれた安倍長期政権下で、日本のガラパゴス化は急速に進んだ。ジャーナリズムが機能せず、「世界の中における日本」の現状認識を私たちは共有できていない。 ワクチン敗戦が映し出す国力衰退については稿を改めることにして、きょうは「ワクチン」そのものについての私見を述べたい。 私はかれこれ20年は予防接種を受けていない。それ以前は受けていた。接種をやめるようになったのは、当時、公衆衛生学を専門とする厚生労働省の医官であった知人が漏らした言葉がきっかけである