著者は、30万部のベストセラー『「学力」の経済学』をおととし出版された中室牧子さんと、ご自身の医療経済学研究が、国内外メディアで大注目の津川友介さん【注1】。今もっとも旬な実証研究者のお二人がタッグを組んで、世に送り出した本書のテーマは「因果推論」(いんがすいろん)です。少しカタい言葉に聞こえるかもしれませんが、因果推論とはざっくり言うと「因果関係なのか、相関関係なのかを正しく見分けるための方法論」(10ページ)のことです。 ビッグデータの整備や計算速度の向上でデータ処理がにわかに身近なものとなり、ビジネスや政策決定の現場で、データ分析を行うことが珍しくなくなってきました。プログラムの成果・効果を適切に評価するためには、データの利用はもはや欠かせません。エビデンスに基づいた議論の重要性もしばしば叫ばれています。こうした風潮を受けて、日本においても「しっかりとデータを見ることが大切」という意