「やおい・ボーイズラブ」というジャンルも、その愛好者を指す「腐女子」という分類もなかった70年代…… 少女マンガと小説の場に出現した「女性がつくり楽しむ男性同士の性愛物語」は、旧い教養(三島由紀夫、ヘッセ、稲垣足穂、ヴィスコンティ…)をどん欲に取り入れ、エンターテインメント教養ともいうべき独自の体系へと成長していった。 本書は、この性愛表現が誕生し、80年代に充足してゆくまでの軌跡に光をあてる。 「女こども」とみなされていた女性の創作者たちは、なにを糧とし、いかなる葛藤に直面し、どのように次世代へとリレーしていったのだろうか。 ◆ インタビュー執筆者 竹宮惠子 (マンガ家、代表作『風と木の詩』『地球へ』『イズァローン伝説』等) 増山法恵 (小説家、「24年組」の拠点であった「大泉サロン」の発起人) 佐川俊彦 (京都精華大学マンガ学部准教授、雑誌『JUNE』元編集長) 第1章 革命が頓挫した