1997年9月6日、マザー・テレサが、インドのカルカッタで亡くなった。マザー・テレサ自身が創設した修道院で、「もう息ができないわ」の一言を残して。文字通り、人生の最後まで、貧しい人のために全てを捧げ切った87年の実に見事な人生である。しかしテレサの死は、派手なダイアナ報道に押し流されてしまった。マザー・テレサの人生の価値と意味が、正しく伝わることはなかったのだ。浮付いたマスコミは、ダイアナの派手なパフォーマンスを好み、人類に対する限りない愛を貫き通したマザー・テレサの献身的な愛を蔑ろにしたのである。我々は、本物を見分ける目を持たなければならない。 それでは、ダイアナとマザー・テレサの違いとは何か。ダイアナが特別な事件や災害で苦しむ人々に大々的な救援活動をしたのに対し、マザー・テレサは日常にありふれた貧困に手を差し伸べたのである。ダイアナは贅沢をしていたのに対し、マザー・テレサは全財産を投げ