夜が明けると、アフリカ、ケニアの丘陵地帯には、朝露に濡れた白い菊の花が広がっていた。除虫菊(Chrysanthemum cinerariifolium、シロバナムシヨケギク)だ。この花を摘み取る人々にはまったく無害だが、昆虫は用心しなければならない。花の黄色い中心部には、昆虫を死へ追いやる毒が含まれている。 除虫菊に含まれる殺虫成分はピレトリンと呼ばれ、これを用いて天然の殺虫剤を生産することができる。農家はこの殺虫剤を作物に吹きつけて、ダニやアリ、アブラムシの被害から作物を守る。牧畜業者が牛にピレトリンの軟膏を塗れば、ハエやダニを寄せ付けない効果がある。