「20万円の壁」。長年勤めた保育士でも、月の手取りが20万円を超えるのは難しいという。子どもを保育所に預ける人が増え、専門性も求められているにもかかわらず、ほかの職種に比べても給与が安い傾向がある。保育士不足の一因にもなっている。 基本給は23万5300円。税金などが引かれた手取りは18万9142円。保育士歴24年の黒田貴子さん(44)は、給与明細書を見ながらつぶやいた。「20万円の壁があまりにも高い。これでは、保育士はなかなか来てくれない」 勤務する静岡市の認可保育所はこの2年間で、「目の前の園児にこれだけ手をかけているのに、自分の子に手をかけられない」といった理由から、子育て世代の保育士ら7人がやめた。責任の重さや忙しさに見合った給与がもらえない。現場にはそんな不満がたまっているという。 「手厚い保育」を売りにしている三重県鈴鹿市の認可保育所「ぐみの木ほいくえん」。一時預かりや休日保育