高輝度光科学研究センター(以下「JASRI」、理事長 吉良爽)は、日本電気株式会社(以下「NEC」、代表取締役執行役員社長 矢野薫)と共同で、大型放射光施設SPring-8(※1)を用いて水溶液中のナノ粒子の表面構造変化をリアルタイムで観測する手法を開発し、燃料電池(※2)の電極触媒の劣化メカニズムを原子レベルで明らかにすることに成功しました。 JASRIとNECが開発した手法は、エネルギー分散型XAFS(図1)と高エネルギーX線回折法とを組み合わせたもので、化学反応が起こる触媒ナノ粒子の最表面の構造をミリ秒間隔で観測することができます。この手法を用いて燃料電池の白金触媒の劣化現象を観測したところ、白金ナノ粒子の最表面の酸化層でα相からβ相へ体積膨張を伴う不可逆な結晶構造変化が起こっており、それが溶出劣化を引き起こしていることが明らかになりました(図2)。 燃料電池は水素と空気中の酸素から