忌むべきもの 憎み嫌うべきものはない なくはない、あるべきでもない 世の常に浮かぶ有象無象のひと泡くらい お釈迦さまにでもくれてやればよいのだ かの方であれば、そこいらに摘んで飾っておいて、そのうちに腐り果てたものを優しく吹いて飛ばすだろう おまえの価値はおまえが持て その忌、その厭に割いた欲情で おまえの友を愛せよ 謝辞 黄身に箸を押し付けてぷっつりと決壊したかのような、とろやかで愛しい、少しアクのある恋をしよう。 松葉風に祖父の竹蜻蛉を思い出したあの日のような、遠い記憶の分岐点で沈んでいる、セピアを絡めたわたしのわたしの愛し子よ。 ささくれよりも、枝毛よりも、割れた踵のどのヒビよりもぬるく突き刺さる、 愛を思い出させてくれてありがとう。 破れてしまったカーディガンの隙間から覗いていたかのこ編みの根元へと、 わたしを編み込んでくれてありがとう。 欲しかったのは、和紙に垂れた墨汁の染みだ。
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