谷甲州は無謬である −幻の《エウロパ・エクスプレス》− 岩瀬[従軍魔法使い]史明 今月のメインテーマは、なぜ航空宇宙軍は木星や土星の大気を重水素供給源としていない(らしい)か?ということです。 ファンの間でもこの設定については必ずしも知れ渡っていないような気がしますが、考えてみるとそれも当然かも知れません。この設定が明確に描かれているのはほとんど「どん亀野郎たち」(短編集「火星鉄道19」収録)だけだからです。そして、第一次外惑星動乱の背景の基本理解は、「航空宇宙軍は航宙燃料を外惑星系に依存している」という一点で、最低限は充分だからです。 しかしより深いツッコミをかけるにはそれだけで気が済まないのがファン気質というもの。まずは航空宇宙軍史における核融合燃料の設定をやや詳細に読み込んでみましょう。 ヘリウム3タンカーはあったか? 以前ちょっと話題になったことに、「重水素以外の核融合燃料