感染症の話トップページへ 2001年第46週(11月12日~18日)掲載 ◆乳児ボツリヌス症 1976 年、米国において最初の乳児ボツリヌス症の例が報告された。乳児ボツリヌス症は、食品中に含まれる毒素による一般的なボツリヌス食中毒と異なり、ボツリヌス菌芽胞を生後1 年未満の乳児が経口的に摂取した結果、腸管内で菌が発芽・増殖して産生した毒素により発症する。腸管内での菌の増殖が、便の検査によって確認される。生後2週目以前の乳児における感染報告例は少なく、母乳(初乳)に含まれる成分が菌の定着・増殖を抑制している可能性がある。 疫 学・病原体 国内では、1986 年の千葉県での初発例以来、ハチミツが主要な原因食品として注目されてきた。この初発例では、患者の便から分離されたものと同型のClostridium botulinum A型菌が輸入ハチミツから検出され、原因食品と断定された。この症例を重