無音の曲などの作品で知られる作曲家ジョン・ケージの図形楽譜など、前衛的な現代芸術作品では国内屈指のコレクションを所蔵する清里現代美術館(山梨県北杜市高根町清里)が、閉館することが分かった。 貴重な所蔵品が海外へ引き取られる可能性がある。 同館は東京都内で美術教師をしていた伊藤信吾さん(66)が個人で集めた1960年代以降の現代美術の作品や、約1万点近い文献、関連資料などを常設展示するため、1990年に開館した。 所蔵品には、1音も演奏されないケージの代表作「4分33秒」の楽譜や立体作品、自筆の草稿のほか、既製品に署名をしただけの作品などで従来の美術の概念を覆したマルセル・デュシャン代表作の構想を描いた銅版画。「すべての人間はアーティストである」と訴え、美術を社会や政治の問題へと拡張したドイツのヨーゼフ・ボイスがパフォーマンスで用いた道具などがある。 また、1960年代を代表する前衛芸術運動