『キャスターという仕事』(国谷裕子著・岩波新書)に、こんな話が書かれていました。 1988年、アメリカ大統領選を取材中、私はホワイトハウスでいつも大統領に手厳しい質問をするサム・ドナルドソン記者に、「なぜ、あなたは大統領に厳しい質問ばかりするのか」と聞いたことがある。「国谷さん、小さな田舎町でアップルパイコンテストがあり、そのコンテストの優勝者が、隣に住む素敵なおばあちゃんだったとしましょう。僕はそのおばあちゃんにも、優勝おめでとう、でもおばあちゃん、そのアップルパイに添加物は使わなかったかい? と聞きますよ」。ドナルドソン記者がそう答えてくれたのが、とても印象に残っている。どんな場でも、相手がどんな人であっても、聞くべきことをきちんと聞くというインタビューの基本を教えてもらったと思った。しかし、日本だったら、果たして、こういうことを聞くだろうか。 国内外で時代のうねりが大きくなり、生き方