疫病が流行しているのでよぶんな外出を控えるようにという通達が出された。それから長い時間が経ち、疫病とそれに対する政策のあおりをうけた企業の事業撤退や縮小、売却、倒産が相次いだ。わたしの夫の職もそのようにしてあやうくなった。だから無職になると夫は言い、そうかいとわたしはこたえた。 夫は自分がこれまで身につけたスキルを検討し、疫病下の世の中では買いたたかれると判断して、しばらく社会人向けの職業訓練プログラムに(オンラインで)通って、それから転職するということだった。真面目である。わたしだったらしばらく不貞寝してると思う。あと一日中ゲームやってると思う。 Zoom会議をしていると生活音が入る。もうみんな慣れっこだが、今日の相手からは、ご家族いらっしゃるんですか、と訊かれた。いますとわたしはこたえた。ご主人ですかと重ねて訊くので夫ですとこたえた。お仕事なにしてる人ですかと訊かれたので無職ですとこた