【ローマ=松浦一樹】4月にイタリア中部を襲った地震の被災地ラクイラで、日本政府が復興支援の一環で進めていた日本人建築家、坂茂さん(52)による音楽ホールの建設計画が、イタリア政府の判断で一方的に中止されたことが3日、わかった。 ホールは、地震で音楽堂が崩壊し、演奏の場を失ったアルフレード・カゼッラ音楽院の学生や地元オーケストラのためにと坂さんが企画。 7月に麻生前首相が復興支援の一つとしてベルルスコーニ伊首相に伝えた。約100万ユーロ(約1億4000万円)の費用のうち、日本政府が半分を負担し、残りは募金で賄う手はずが整っていた。 しかし伊復興当局の見積もりでは、駐車場整備なども合わせると360万ユーロ(約5億円)が必要となるため、「予算が足りず、実現は難しいと判断した」(復興責任者のアンジェロ・ボレッリ氏)。当局は仮設の校舎などを建設する事業に乗り出し、10月中旬に着工。坂さんの計画は中止