それは日本の法曹界にとって、「五輪」に匹敵するイベントだっただろう。 万国国際法学会(IDI)の総会が2013年9月7日~9月14日まで、アジアで初めて東京で開催された。IDIは1873年(明治5年)に創設。会長の小和田恒さんによると、「国際法の分野で最も権威ある国際学会」(2013年9月5日・日経新聞)との事だ。小和田さんといえば皇太子妃雅子さまのご尊父としての知名度が高いが、国際司法裁判所長を歴任するなど、アジアを代表する、国際法分野の碩学の長老でもある。 国際法といえば、国家間の戦争時の捕虜の扱いなどを取り決めた戦時国際法など公共分野を思い浮かべる方も多いと思うが、グローバル化の進展でヒト、モノ、カネの往来が盛んになる中、むしろ私法分野の整備が問われている。言うまでもなく、個人が従う法律は各国の主権の下で施行されており、もめ事の一方の当事者が国境をまたいでしまうと、相手に対して法的拘