単独無酸素七大陸最高峰登頂を掲げ、エベレストで遭難した栗城史多さん。その栗城さんをかつて取材で追っていた河野啓さんに執筆の背景を聞いた。 森山:河野さんは、テレビ番組の取材で栗城さんをずっと追っていたそうですが、栗城史多という人物に対してはどういう印象を持っていたんですか? 河野:本心がよくわからないところがありました。いうことがコロコロ変わるし、振り回されてばかりで……。最終的にいい印象は残らなかったんですが、この本の取材を始めて、私の知らなかった栗城さんの話を聞くにつれて、印象が変わっていったんです。 森山:変わったというのはどういう方向に? 河野:ようやく栗城さんのことを好きになれたんです。 森山:当然、会った当初はネガティブな感情は持っていなかったんですよね。 河野:はい。単独無酸素で世界七大陸最高峰を登るというのは相当すごいことなんだろうと思ったし、クリクリとした目でニコニコ笑う