前回の記事『巨像恐怖症(1)』で書いた通り、私は「人の形をした大きい物」が怖い。この国ではさして珍しくもない寺院の仁王像に恐怖し、初詣ひとつにも大変な苦痛を伴う。 そんな私が、今まで訪れた最凶の観光スポットを、いくつか紹介しようと思う。 大船観音(神奈川県鎌倉市) 胸像ゆえに、顔面の迫力は他の追随を許さない。白い像の宿命として汚れが目立つ。両まぶたから流れた雨水の跡は、観音像の涙にしか見えない。夜間はケバケバしいライトアップが施され、より一層の恐怖心を煽る。JR大船駅からもその姿を拝むことができるが、遠目に見ることも避けたい強敵。 三十三間堂(京都市) 一つ一つの仏像の大きさはさほどでもないが、1,000体以上がずらっと並んだ時の威圧感は想像を超える。仏像の無数の視線を感じながら120メートルもの順路を辿らねばならず、一度入ったら最後、簡単には逃げ出せないお化け屋敷のような怖さがある。国宝