岩瀬大輔さんの『ハーバードMBA留学記』(日経BP社)を初めて読んだのは、2年と少し前。少年が大人へと成長していく教養小説(ビルドゥングスロマン)のように読んだと同時に、優れたアメリカ論であるとの読後感をもった。アメリカ体験記の名著としては、『若き数学者のアメリカ』(藤原正彦著)、『アメリカが嫌いですか』(阿川尚之著)『アメリカン・ロイヤーの誕生――ジョージタウン・ロー・スクール留学記』(同)などがあるが、これらに匹敵する名著であると思う。 最近、その『ハーバードMBA留学記』が文庫になったので、改めて手に取ってみた(文庫のタイトルは『金融資本主義を超えて』文春文庫)。今回もまた、みずみずしい教養小説のように読んだが、2年前には軽く読み流してしまった、社会起業家への言及部分や、ファンド資本主義への洞察部分など、まさにいまホットなテーマが満載の本であることに気がついた。 日本に居ながらにして