昨今の厳罰化を求める世論には二つの側面があると思う。一つは刑罰が持つ抑止力への期待。もう一つは被害者感情への共鳴である。 前者に関しては、交通事故など加害者が正常な人間が多い場合には期待できるが、殺人犯のような常識を逸した人間に対しては期待できないということは薄々気づいている人も多いはずだ。最近は「死刑になれる」ということ自体が殺人動機になっており、死刑の殺人事件の抑止力に期待するのは限度があることが明らかだ。また最近は、犯罪者を顕名にすることをマスコミに求める世論が強く、実名報道が増えている。恐らく、顕名にすることは社会復帰を困難にし、加害者への重い制裁になると考えている厳罰主義者が多いのであろうが、実態は逆効果で犯罪を犯すことで有名になりたいという犯罪者の虚栄心を満たすことに協力するだけである。中には両親への連帯責任を期待した逸脱した私刑欲求から、犯罪者の両親のプライバシーを暴きネット