『八犬伝』の板木は、3千数百枚に及ぶ[9]。板木は明治維新後に和泉屋吉兵衛・兎屋などの手を経て博文館の所有となった。板木を用いた出版は明治30年まで行われた[10]。 江戸時代には今日的な意味での著作権は作者になく[11]、出版権(板株)は版元の間で取引され、版元は自らが蔵板する本を自由に再摺し、板木の仕立て直しを行ったり、改題を行うこともできた[11][10]。馬琴は刊行にあたって挿絵や意匠にさまざまな指示を出しているが[12]、これらの指示が反映されたとみなされる初版初摺本が、研究上重視されている[11][12]。後摺本にも馬琴が関与したものと、馬琴の関知しないものがある[12]。『南総里見八犬伝』という作品の流通・普及の上では、後摺本の果たした役割も大きい[10]。 馬琴の手許にあった『南総里見八犬伝』(手沢本)は国立国会図書館に収蔵されており、馬琴による書き入れも見られる[13]。
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