2011/03/01 掲載 著 施川ユウキ 秋田書店 /ヤングチャンピオン・コミックス [マンガ・アニメ] 国内 2009.11 版型:コミック ISBN:4253146198 価格:560円(税込) 大河内昭爾が、吉村昭の文章のおもしろさは「陽気な自虐性」にある、と書いていて(『実を申すと』ちくま文庫解説)ちょっと納得させられた。「陰湿な自虐性」は日本私小説の伝統芸だが、吉村にはその枠におさまらない、いさぎよさがあるというのだ。 この「陽気な自虐性」というところを、「自分をだしにしておもしろがる」と言い換えてみると、わかりやすい。どんな境遇にいても、それをおもしろがることができれば、少しは救われる。どうしようもない私の「どうしようもなさ」を、愛でるわけである。自虐ではないが、吉田豪が「童貞をこじらせた人たち」や「不惑を過ぎて〈サブカルの旗手〉という称号が似合わなくなってしまった人々」の