昭和51年9月6日,ソ連の最新鋭ジェット戦闘機であるミグ25が突如として日本の領空を侵犯し,函館空港に強行着陸した。その後防衛庁は,領空侵犯,強行着陸の背景状況解明のため機体を調査し,11月14日ソ連側に引き渡しを行った。 以下,事件の概要,防衛庁のとった措置,事件の教訓等について述べることとする。 1 事件の概要 この事件の概要は次のとおりである。 9月6日 ○ ミグ25は,午後1時22分30秒北海道茂津田(もつだ)岬(小樽市南西約20キロメートル)の沖合上空でわが国の領空を侵犯し,午後1時50分頃函館空港に強行着陸し,乗員(ベレンコ中尉)は米国への亡命と身体の保護を申し出た。 O ソ連側は,6日夕外務省に対して乗員との面会,乗員の身柄の引き渡し,機体の早期返還等について要求してきた。 9月7日 ○ 外務省は,ベレンコ中尉の米国への亡命の意志を確認したので,ソ連側に対し,その旨伝達すると