「乗客とのふれあいが車掌の財産」と話す山本さん。丁寧な接客は若手車掌の手本だった(6月27日、夜行急行「きたぐに」で)=金沢修撮影 夜行列車の車掌の中で、JR西日本の現役最長である37年のキャリアを持つ山本光夫さん(60)が、寝台特急「日本海」(大阪―青森)の往復乗務(8~11日)を最後に、定年退職を迎える。2008年3月に廃止された夜行急行「銀河」(大阪―東京)の最終列車も乗務したベテラン車掌で、鉄道ファンにも知られた存在。山本さんは「思い出すのはお客さんの笑顔ばかり。一期一会に感謝したい」と振り返る。 「見附駅(新潟県)までですね。織物の仕事ですか」。6月27日夜、大阪駅を出発した夜行急行「きたぐに」の車内で山本車掌が話しかけると、寝台に腰掛けた兵庫県西脇市の会社員男性(34)が「播州織の営業です。朝一番に得意先へ行くことになって……」と応じ、会話が始まった。 沿線の特産品をすべて記憶