日本社会は90年代前半から劇的に変化した。 「いい学校、いい会社、いい人生」というモデルが崩壊して、 「幸せ」とは何なのか、誰も説明できない。 国が推し進めた「20代で社長」という希望は幻想にすぎない。 東大大学院所属の若すぎる社会学者が描く画期的ルポルタージュ。 上場はしない。社員は三人から増やさない。社員全員が同じマンションの別の部屋に住む。お互いがそれぞれの家の鍵を持ち合っている。誰かが死んだ時点で会社は解散する。 僕は今、そんな会社で働いている。社長は「会社」というよりも「ファミリー」という言葉を好む。社長と言っても今二五歳である僕の一学年上なので、まだ二七歳である。顔は高校生のような童顔。低めの身長に太めの胴体。名前は松島隆太郎(一九八三年生まれ)という。ちなみに僕はふだん「りゅうくん」と呼んでいる。ただ、『G2』はどこから読んでも真面目な社会派雑誌なので、本稿では僕も襟