平成22年の映画興行収入が過去最高の見通しとなる一方、「スモーク」(1995年)などの佳品を紹介してきた恵比寿ガーデンシネマ(東京都渋谷区)が来年1月で休館するなど、ミニシアターの閉館が相次いでいる。背景には、シネマコンプレックス(複合映画館)の台頭に加え、「映画を芸術として見たり考えることが苦手で、『泣ける』『笑える』といった単純で強い言葉しか届かない」(映画関係者)という現代の若者の傾向があるようだ。 「今の若者はイベントとして映画を楽しむのは好きだが、静かに映画を見るのは苦手。窓口で学生証を見ることが本当に少ない」 ミニシアターが数多く集まる東京・渋谷の老舗、ユーロスペースの北條誠人支配人は嘆く。 渋谷では今年、9月に渋谷シアターTSUTAYAが、11月末にはシネマ・アンジェリカがそれぞれ閉館。3スクリーン制だったシネマライズも、7月から1スクリーンに減らした。さらに、シネセゾン渋谷