2022年3月31日、スリランカの最大都市コロンボ郊外のミリハーナにあるゴタバヤ・ラージャパクサ大統領私邸付近で、デモ参加者と警察が衝突し(ミリハーナ事件)、翌日非常事態宣言・夜間外出禁止令が発令された。政府は抗議行動の拡大を阻止しようとソーシャルメディアをブロックしたが、その後も全国で反政府デモが多発し、4月4日には首相以外の全閣僚が辞任するに至った。それを受けて大統領は「全政党による暫定政府を作り、問題解決にあたるので全政党は協力すべき」と主張したが、事態は収まっていない。 今回の抗議デモの原因が経済危機にあることは間違いないだろう。一部ではその要因を中国による「債務の罠」に求める報道もあるが(森 2022)、それは問題の本質ではない。国際ソブリン債の返済問題、大幅な物価の上昇、新型コロナウイルス感染症拡大の影響、外貨や燃料不足による停電など、独立以来の経済危機に生活苦を強いられた都市