お題「恋バナ」 検証ブログとしての短編小説です。人間の『記憶』をテーマに書いてます。楽しんでいただければ、とても嬉しいです。 記憶の淵に立つメーガン 短編小説『記憶の淵に立つメーガン』 太陽がぷっかりと海の端に浮んでいる。 世界が闇に沈むのにもかかわらず、島の人びとは金色の夕暮れを美しいと言い交わす。メーガン以外は・・・ メーガンは記憶の人であり、島人は忘却の人であるからだ。 「朝陽のほうが美しいのに、なぜ、大人は嫌うの」 教室の窓から夕陽を眺めながらカイリにたずねた。19歳になった今も、その日の記憶はあざやかに蘇る。そのとき、カイリは眩しそうに顔を傾け、しばらくして、目を背けた。その横顔が大人びて凛々しかった。 「なにもかも忘れるからだよ。だから、大人は朝陽が嫌いなんだ。面倒だしさ」 「そんなもんなの」 「そんなもんさ」 朝の目覚めとともに、人びとの記憶は砂時計の砂が落ちて行くように消え