エジプトのミイラと言えば、真っ先にその名が挙がるのがツタンカーメン王だろう。歴代の古代エジプト王(ファラオ)のミイラのうち、盗掘の被害に遭っていない状態で発見されたのはツタンカーメンだけだと言われている。 1922年に英国の考古学マニア、ハワード・カーターがツタンカーメン王のミイラを発掘したときは、王を王たらしめる上で最も重要な器官も欠損せずに残っていた。 左の写真は、発掘作業中にハリー・バートンによって撮影されたものである。この写真のちょうど真ん中を見れば、突起が目に付く。ツタンカーメン王の死亡時の年齢は諸説があって定かではないが、自らの血統を受け継ぐ子孫を残す目的でその器官が使用されたことは一度もなかったかもしれない。だが、ちゃんと体にくっついていた。 しかし、1968年、英国の科学者ロナルド・ハリソンがX線写真を撮影するためにミイラをチェックしたところ、その大事な部分が忽然と消えてい