2023年12月23日、 全日本選手権、男子シングル表彰式。左から鍵山優真(2位)、宇野昌磨(1位)、山本草太(3位) 写真=西村尚己/アフロスポーツ きっかけは直前の第3グループ 12月24日、フィギュアスケートの全日本選手権女子で優勝を決めたフリーのあと、坂本花織は言った。 「ほんとうに神がかった試合でした」 自身の出場した女子についてではない。前日に行われた男子フリーを観戦してのひとことだった。とりわけ最終グループは、まさにのちのちまで記憶されるべき、語り継がれるべき情景だった。 きっかけはその直前の第3グループにあった。グループ内第5滑走者の吉岡希が非公式ながら(以下同)、フリー、合計得点ともに自己ベストを大きく上回る演技を披露する。すると壷井達也が同じくフリー、合計得点で自己ベストを上回った。 その流れを最終の第4グループが継いだ。滑走者は順に、友野一希、佐藤駿、三浦佳生、鍵山優