今年8月、奈良県大淀町の町立病院に入院していた女性(32)が、夜中の分娩中の異状を放置されたうえ、受け入れ先の病院が見つからずに18もの病院をたらい回しにされたとするニュース(18日報道)は、確かにショッキングなものだ。女性は後に分かったように脳内出血を起こしており、当直医の一人は担当医(当然、産科医)にCT検査を勧めた場面もあったようだが、結局は妊婦に多い「子癇(かん)」と判断。受け入れ病院が見つからず、最終的に搬送されたのは県境を越えた国立循環器病センター(大阪・吹田市)となって、子どもは助けられたが女性は8日後に亡くなった。 この話だけ聞くと、多くの人は「何ていうこと」「そんなバカな話があるのか」と思うに違いない。しかし、医療関係者はもう少し違った反応を示すハズだ。「もしかしてそんなこともあるかもしれない」と――。 今回の出来事は、日本の医療をよく知る人にとっては、実に鮮やかに、その