我が国で「環境ホルモン」という言葉に注目が集まったのは、およそ10年前にさかのぼる。1997年の秋、『奪われし未来』(シーア・コルボーンほか著、翔泳社)が発売になった。同書では鳥やワニ、ヒョウなど野生動物の生殖機能が環境ホルモンによって異常になっている可能性が示唆され、人々に衝撃を与えた。 その後、環境ホルモンについては世界各国の、そして数多くの研究者が「人間では環境ホルモンの影響は認められない」という結果を発表した。そのためにいつしかこの問題は忘れさられてしまった感がある。 しかし昨今、環境ホルモンの疑いのある「ビスフェノールA」という物質が、ラットを使った実験で、ごく微量で「発情を持続させる」という異常を引き起こすことが分かった。そのため、再びこの問題がクローズアップされ始めたのである。 食器や哺乳ビンからビスフェノールAを摂取する可能性は高い ビスフェノールAは、プラスチックのポリカ