M. アンダーソン(ハートフォード大学) S. L. アンダーソン(カリフォルニア大学ロサンゼルス校) 日本の鉄腕アトムやドラえもんは人間より人間らしい正義漢だが,アメリカの映画に出てくるロボットは容赦なく人間を殺戮するモンスターであることが多い。だから,というわけではないのだろうが,「いい人」の行動原則をプログラムされた初のロボットが,このほどアメリカで誕生した。 高齢者支援ロボットNAOは,薬の時間が来ると知らせてくれるが,たとえ薬をのまなくても,すぐに医師に言いつけたり,しつこく言い続けたりはしない。こちらの決定を尊重してくれる。だが,飲まないと深刻な事態に陥る危険が迫っている時は別だ。ただちに医師に連絡する。 NAOがこうした複雑な判断を下すことを可能にしたのは,著者らが開発した倫理プログラムだ。コンピューター科学者のマイケルと応用倫理学者のスーザンは,ロボットが「薬を服用させる」