生まれながらにして「リーダー」の素質を持っている人はまれだろう。この秋、4度目の宇宙飛行に飛び立ち、日本人初の国際宇宙ステーション(ISS)船長として、宇宙飛行士チームの指揮をとる若田光一でさえ、「自分はリーダーとして人の前に立つようなタイプではなかった」と言う。 ISSの船長と言えば、エリートぞろいの世界の宇宙飛行士約100人のトップに立つ存在だ。しかし、過去の記事で書いたように、宇宙飛行士選抜試験で選ばれたとき、若田は飛び抜けて高評価を得ていたわけではなかった。若田自身も「受験者は世界で活躍する科学者や技術者が多く、選ばれたときは『なぜ自分なのか』と思った」と語っている。 だが若田はその後、飛躍的な進化を遂げる。日本人で初めて、宇宙でロボットアーム操作や船外活動を担当できるNASA宇宙飛行士(ミッションスペシャリスト)の資格を取り、日本人で初めてNASA宇宙飛行士室のロボットアーム教官