政府が新たな経済成長の柱と位置付ける農業。しかし、現実には農家の耕作技能の低下と補助金依存で、日本農業の「ハリボテ化」現象が進行していると、神門善久・明治学院大学教授は指摘する。 日本社会では、ここ何年か、日本農業を褒めそやす「農業ブーム」と呼ばれる異常な現象が現れている。本屋に行けば農業コーナーが設けられ、「もうかる農業」、「奇跡の農業」などといった明るい話題をふりまく書籍が山積みになっている。それらをテーマにした映画も製作・配給される。 しかし、現場では日本農業の「ハリボテ化」というべき現象が進行している。耕作技能がなく、自然環境との融和も少なく、低品質な作物しか作れない農家が増えている。農業機械を取りそろえたり、商工業者との連携をうたったり、有機農業を標榜(ひょうぼう)するなど、外見はそれなりに装っているが、農業としての中身がない。さらに皮肉なことに、政府の了見違いの農政改革が農業の