核兵器禁止条約の署名式=2017年9月、ニューヨーク【EPA時事】 「核兵器のない世界」という目標を多数の国が共有しながら、実際の核軍縮の動きは停滞している。ウクライナ情勢の緊迫などで核軍縮の機運がしぼみかねない状況にある中、今年半ばには、非核保有国の主導で発効した核兵器禁止条約の第1回締約国会議、8月には核拡散防止条約(NPT)再検討会議がそれぞれ予定され、核軍縮を具体的に進展させられるかどうかの正念場となる。唯一の戦争被爆国である日本は、核禁止条約の署名・批准はおろか、締約国会議へのオブザーバー参加にも後ろ向きの姿勢で、核廃絶に向けた取り組みの本気度が問われている。(時事通信解説委員 高橋浩之) NPTにほころび ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によると、世界の核兵器数は2021年時点で約1万3000発。ロシア(6255発)と米国(5550発)が突出して多く、中国、フランス、