安倍晋三首相が22日、国家公務員の定年を65歳に引き上げる国家公務員法改正案を見直す考えを表明したことに、与野党に衝撃が走っている。公務員の定年延長は、年金支給年齢の引き上げなど全世代型社会保障改革の一環で「人生100年時代」に向けた首相の看板政策。賛成する野党をけん制する狙いとみられるが、突然の方針転換には、与党内にも戸惑いの声が広がっている。 「新型コロナウイルスの感染が拡大し、民間の方々が苦しむ中、このまま議論を進めるべきかという指摘があるのは事実だ」。首相は22日の衆院厚生労働委員会でこう述べ、世論に「公務員優遇」批判があるとも繰り返した。 野党は猛反発。立憲民主党の安住淳国対委員長は同日の会派会合で、辞職した黒川弘務東京高検検事長の賭けマージャン問題を挙げ、「黒川氏の問題を公務員たたきの話にすり替えるような話だ」と批判した。 国家公務員の定年延長は元々、安倍政権が掲げる人生100