澤田康幸・上田路子・松林哲也/著 『自殺のない社会へ――経済学・政治学からのエビデンスに基づくアプローチ』 2013年6月発行 →書誌情報はこちら 著者の澤田先生が本書の刊行にあたって『書斎の窓』(2013年11月号)にお寄せくださったエッセイを以下でもお読みいただけます ◇自殺のない社会へ――社会科学者が取り組む意義◇ この度、政治学者である上田路子氏・松林哲也氏と共に経済学者である私が「自殺のない社会へ――政治学・経済学からのエビデンスに基づくアプローチ」を上 梓しました。医学者や疫学者でない我々社会科学者が自殺対策の研究に取り組む意義について、我々が考えるところをご紹介したいと思います。 自殺を社会の問題としてとらえる 「自殺」は、現代日本における最も深刻な問題の一つであることは言うまでもありません。世界保健機関(WHO)によると、世界で毎日3000人もの人々が自殺を図り、およそ30