心惹かれる場所には、たいてい名前がない。 「深いグリーンの煉瓦に、色とりどりの植木鉢がきれいな場所」 色の雰囲気とか、光のさす感じとか、たまらなく好きだなぁと思って通るたびに気になってしまう。 それは「東京のどの町が好き?」みたいに他人と会話が弾むようなテーマですらなく、本当に些細で絶妙で自分のツボを刺激する場所である。(それで日記に書いている!) 川沿いの、この小さな道も。 左側の柵を登ったところには、小名木川が流れている。道沿いには古着屋さんがあって、川の方に入る階段の下で、すごく人懐っこい猫に出会ったこともある。 私を愉快にしてくれる場所には、いつも名前がないのだ。 *・*・* そういう名もなき場所ひとつひとつにスポットライトを当てた、とっても面白い本がある。 神保町の三省堂書店で見つけた、能町みね子さんの『ほじくりストリートビュー』である。 先週末、本屋さんでこの本を見つけ、パラパ
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