「ぺぺローションです」 左端の学生が答えた。 「人と人との摩擦を減らし、皆を気持ちよくする。そういう人間であるよう心がけてきました」 「コンドームです」 中央の学生が答えた。 「重大な局面を防ぎつつも、自分の存在を主張しない。そういう人間であるように心がけてきました」 「オナホ―ルです」 ついにぼくの番だ。 「恵まれない人にも、喜びを与える。そういう人間であるように心がけてきました」 「わかりました」 面接官が口を開いた。 「弊社の使命は人と人を繋ぐことです。だから、ぺぺローションやコンドームのような人材を求めているのです」 ぼくは息をのんだ。 「しかし、オナホ―ルではいけません。オナホ―ルは使用者に仕えるだけで、用済みになれば捨てられるのみでしょう」 ……外へ出てみると、さっきまで降っていた雨は嘘だったかのように、太陽がぼくを照らした。 ああ、今日もダメだった。そう思いながら空を仰ぐぼく