物語を突き動かすキアロスクーロ 平庫ワカの『マイ・ブロークン・マリコ』が話題になっている。口コミで日を追うごとにその評価を高めていった本作は、「COMIC BRIDGE online」でのWeb連載が更新されるたびにトレンド入りし、先ごろ発売された単行本(全1巻)も即重版が決定したらしい。快挙だ。とはいえ、失礼ながら本作は大部数発行の老舗雑誌に連載されたわけでもなければ、これまた失礼ながら、人気の売れっ子漫画家が描いた待望の新作、というわけでもない。それでも、つまり、評価の定まらない未知の新人の作品でも内容さえよければ売れる、というのは快挙であると同時に、エンターテインメントの世界の正しいあり方(送り手にとっても受け手にとっても)を指し示しているともいえよう。似たようなケースとして、たとえば映画の世界での『カメラを止めるな!』の大ヒットが記憶に新しいところだが、漫画の世界もまだまだ捨てたも