不幸中の幸い、などと軽く言うにはあまりに重大な災いである。だがこの大震災で国民が学んだことのひとつは自衛隊の存在の大きさだろう。発生以来、陸海空から10万7千人もの隊員が動員され、人命救助や被災者支援などにあたってきた。 ▼救助した人の数は1万9千人あまりに上る。原発事故で真っ先に放水など危険な作業に取り組んだのも自衛隊員だった。その献身的な奮闘がなければ、被害は何十倍も大きくなっていた。隊員はもとより、彼らを育てた指揮官らの努力には頭を下げるしかない。 ▼ところが、その必死の活動が続いている最中に公表された中学校教科書の検定結果には驚いた。いまだに自衛隊を「憲法違反」であるかのような記述の教科書があったからだ。「武器を持たないというのが日本国憲法の立場ではなかったのかという意見もある」という記述も見られた。 ▼自衛隊を「日陰者」扱いするこうした教育は昭和30年代から40年代ごろ、日教組な