ここに掲載したような"残骸"が自動車専門誌の誌面に登場することは希だ。だからといって、あまりに醜いからと目を背けないでいただきたい。"残骸"どころか、今や世界一の自動車製造会社となったトヨタ自動車の人々にとっては、自社のルーツを明らかにする重要な"生き証人"なのである。地球の果てまで旅しても探し求める価値を持つ1台といっても、決して過言ではないだろう。本稿は地球上に1台かもしれないクルマを発見した人々のストーリーである。 ロシアからの便り 第一報は2008年春のミッレミリアの開催中に、ローマン自動車博物館(オランダ・ハーグ)の館長、ロナルド・コーイマンズに届いた。 「古いトヨタ車についての情報を持っている。おそらく貴方は興味を持つだろうが、売り手の提示額はあまりに巨額だ……」と。 情報をもたらしたのは、同じオランダのあるクラシックカー・ウェブサイトの運営者であった。話を聞いてみると、その"