従来の薬が効かず、世界保健機関(WHO)が警告を発している治療不可能な新型の結核菌が最近、日本国内の患者から検出された。日本では国民病とまでいわれた結核は、戦後の医療技術の進歩でもはや「過去の病気」と思われがちだが、実は日本は今なお結核の「中蔓延国」だ。 「日本でも薬の効かない手ごわい結核が各地で出ていることは知られていた。今回の調査でその存在が初めて統計的に明確になった。非常に重大な事態だ」 前結核研究所長の森亨・国立感染症研究所ハンセン病研究センター長はこう話した。 薬が効かない結核は超多剤耐性結核(XDR-TB)と呼ばれる。結核に効き目が強い第一選択薬のうち、イソニアジドとリファンピシンに耐性をもつものは、多剤耐性結核(MDR-TB)と名付けられているが、XDR結核はこの二種類に加えて、補助的な第二選択薬(六種類)のうち、三種類以上に対して耐性があるものを指す。 国内のXDR結核の存