Harue OHDE Assets from Midwives in the 20th Century はじめに 近代国家の形成と助産 「助産之栞」にみる産科医の産婆(助産婦)観 20世紀の産婆(助産婦)たち 1) 笹川みす(1855-1918)と新潟私立産婆養成所 2) 柴原浦子(1887-1955)と産児調節運動 3) 入院助産の時代-Tさんの記したI助産院の日誌から- 結びにかえて: 21世紀の助産婦に引き継がれるべきもの 1. はじめに 助産婦がどのような助産の形をめざしていくことが、今後を切り拓くことにつながるのだろうか。そのヒントを探るために、助産の100年を振り返ることが、本論の目的である。 民俗学の報告によれば、出産とは一人で、あるいは夫や母などの家族か近隣の出産経験をもった年輩の女性などの援助を受けて自宅(ニワと呼ばれる土間や納戸)や産小屋で行うものだった。経験ある女性た