「いったん開発が終わってしまえば,後はすべて運用担当者の仕事」。そのように考えている開発担当者はいないだろうか。もし設計や開発で不備があれば,そうしたシステムを使わされるユーザーは不満を感じる。その不満は開発担当者がもたらしたものと言えるが,ユーザーから文句を言われるのはいつも運用担当者である。 大手製造業の情報システム部員である細川仁さん(仮名)は,運用チームに所属し,ヘルプデスクの責任者を務める。運用チームは設計にも開発にもかかわらないが,「ユーザーの声に耳を傾けてシステムの改善を提案する。それがヘルプデスク担当者の役割」と,この仕事に誇りを持つ。 そんな細川さんにとって忘れられないシステムがある。そのシステムの稼働直後は,ユーザーからの問い合わせは少なく静かな滑り出しだったが,稼働から3カ月を迎えると事態は急変。ヘルプデスクへの問い合わせが激増した。しかも,問い合わせ内容はほぼすべて